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10「カワセ楽器」

  神田・小川町の老舗アコースティック楽器店。マーティンが何本もショーウィンドウに並ぶ、マニア垂涎の店だったが、敷居が高いのが玉に瑕。マーティンのオリジナル・コピー・モデル「マスター」も特注で製作していたけれど、イチゲンさんはまず相手にされなかった。おおむねマーティンを眺めつくしたあと、同店オリジナルのギター弦(1セット300円、これは安かった!)を買って帰るというのがお決まりのコース。これはよく鳴る弦だったが、音が劣化するのも早く、貧乏学生の間では劣化した弦を「煮る」という再生法も広まった。のちに「マスター」の普及版「ビリー」を同店の既製品モデルとして発売。これもまずまずの人気だった。AFWの時代には、新入生にギター購入希望者を募り、カワセに「ビリー」を割引価格で一括注文するという妙案も試みられている。

  なおのちに「カワセ楽器」は何年か閉店していた時期があるが、その後同じ場所に復活して現在も営業中。ただし、高級ギター・ショップが周辺に林立する今となっては、以前ほどの“定評”はない。

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