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#01 ■1970.4  ASFの発足

  大学のイ メージからして、フォーク・ソングのサークルなんか、いくらでもあるんじゃないの…。19704月、青山学 院大学に入学した新入生の多くはそう思っていた。いろいろ物色して、あんまり厳しくなくて、適当にカッコよさそうなところに入ろうか。先輩やOBには、もう レコードを出してる有名な人がいるかもしれないし…とあらぬ想像をしていた。ところが、いくら探してもフォークのサークルなど勧誘もしていないし、部員募 集のチラシ、ポスターなど、まるで見当たらなかったのである。ついでに言えば、当時隆盛の真っ只中だったロックのクラブすらない。ポピュラー音楽系で言え ば「AMS(モダン・ ジャズ、ブルーグラス、ハワイアンの3セクション)、「ロイヤ ル・サウンズ・オーケストラ」(ビッグ・バ ンド・ジャズ)、あとは 「マンドリン・クラブ」くらいのものだった。「ビートルズ訳詞研究会」というのもあったが、ここは当時は演奏活動をしないサークルだった。


  何週間か途 方に暮れていたころ、学生会館のロビーあたりだったか、ごく控え目な部員募集の貼り紙に巡り会う。その名に“Aoyama Singing Folk”とあった。 やっと見つけた嬉しさで、早速、指定された学生会館4階の部屋に 足を向けると、そこはなんと「弁論部」の部室だった。何か違うんじゃないのと思いながらも、そこでASF創立者の2人、当時3年の初代会 長・中村裕昭さん(68年入学)と同副会長 の有若茂さん(68年入学)に会うこと ができたのだった。


  もちろん、 間違いなくそこは「Aoyama Singing Folk」だった。 中村さんと有若さんによれば、「弁論部」はほとんど活動状態になく、その部室はヘルメットを被った連中がしばしば溜まり場にしていたのだという。いわば空 き部屋同然だったから、いま、勝手に“仮の部室”にしているのだと。で、失礼とは思いながらも訊いてみた。「他にフォークのクラブはあるんですか?」「い や、ないよ。短大にはあるみたいだけど、青学にはフォークのクラブなんてないから、オレたちが作ったばかりなんだ」。これには驚いたし、少々落胆もしたの だが、選択肢はもうここしかなかった。


  中村さん、 有若さんが言うには、「もう何人か入部希望者が来てるよ」とのことだった。それならいい仲間に巡り会えるかもしれない。何より、お2人はとても フランクな方で、先輩面などせず、気兼ねなく話せる印象だったから、即座に入部を決めた。それから連日“弁論部の部室”に立ち寄り、ギターを弾きながら入 り浸っているうちに、多くの仲間と巡り会った。入部希望者も後を絶たなかった。私事(宇田和弘 aka キタロー、70年入学)を 言えば、ASFで誕生する 最初のバンド、バッド・ライダーズの橋本顕介と佐藤和仁(ともに70年入学) や、チコと名乗る恐るべきボッサ・ギター弾き、松島千枝子(70年入学)と 出会ったのもここだった。


  入部希望者 が次々に訪れるうち、勝手に仮住まいしていた“弁論部の部室”を占拠し続けるわけにもいかず、学生会館地下の学食が溜り場になった。このころ、5月上旬だっ たか、6号館地下に あった「YM食堂」で、 新入生歓迎と入部説明会を兼ねたミーティングが行われた。参加者は50人を軽く超 していたと記憶する。新入生はもとより、3年生、2年生、短大 生も大勢やって来た。この前後に入部の意思表示をした者が、ASFの最初期メ ンバーと言っていいと思う。


  ASFは当初から 文連(文化団体連合)の所属団体だった。これには先輩方、とくに行動的にリーダーシップを執っていた有若茂さんの尽力が大きかったと思う(文連公認の会員 証も発行されている)。だが、当初の扱いは「愛好会」。たしか数年後に「同好会」に格上げされ、のちのAFWの時代に正 式な「公認団体」となったと記憶する。

                                        有若さん、中村さんの2ショット        会員証

2 件のコメント:

  1. 1年生の夏合宿だったかな?
    朝、みんなで宿の庭に出て体操をしてから有若さんの指揮で神ともに居まして~と讃美歌を歌ってから、
    希望という名のあなたを訪ねて…と、希望を歌ったのが懐かしい思い出です。
    湖畔では大勢の男子が太田さんの両手足持って揺らして湖に投げ込んでましたね。
    今になって、太田さんがよく無事だったと安堵しています。

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  2. 合宿の最後のかくし芸大会で、棟梁がやった谷岡ヤスジの漫画に出てくる鶏の恰好でアサ~!をやったのがあまりに漫画そっくりで忘れられません。
    伊賀くんと橋本くんがやったスーパーマンの使用前使用後の姿も、太田さんのたまおおきふとしも!

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